「
本屋のほんね」さんのところで取り上げていただいたみたいで。
2月28日の私の記事についてコメントいただきました。
ちょっとたくさん引用させていただいちゃいます。
えっと、別にchakichakiさんに反論するとかじゃなくて、書店業界ってこういうもんですってのを一般の人に示せたらいいかなと。
返品率実績を調査すると、巨大書店の返品率が一番低く、二番目が小さな書店、一番返品率が高くて効率が悪いのが150坪規模の中型書店、という結果なのだそうです。小型書店には、そもそも配本自体が無いから論外にするとして、やはり風上側としては返品「数」ではなく返品「率」を重視するので、配本が巨大書店偏重になってしまうのはやむを得ません。中型書店に山のような配本がいっても山のような返品が出るだけです。と、私まるでどこかの取次さんみたいなこと言ってますが、これでも書店の人間です。そうかー、巨大書店はあれでもしっかり売り切っていくということなのかー。やっぱすごいね。昼間ッからバンバンお客が入ってくるしね。
ただ、やっぱり取次に「率」で話をされると本当に困りますね。分母が小さくなれば率は上がってしまいますからね。10冊のうち3冊返品しちゃうと30%、100冊入ってるところなら3冊は3%ですから。なんかどこぞの株の話みたいだな。
ただ、山のように配本が欲しいわけではないので、誤解なきよう。
全部が全部欲しいわけではないので。
発売日当日に来たお客様が配本が無いことにキレた、巨大書店には100冊以上ある、こっちに1冊むこうに99冊の初回配本でダメなのか?というお話です。「あの店は発売日に本が入ってこない」とかあのキレっぷりなら周囲の人に言いそうですしね。
あっちの店に100冊もあるのに、我々は「返品待ち・重版検討中」と版元に言われ待つ。入荷する頃には時期を逃して、新刊書店なのにブックオフ状態。で、これが売れなくて返品すると返品「率」で100%という数字が出てしまう。
売上があがらないことを配本のせいにする書店は、私か言わせれば、努力とスキルが足りません。もちろん、この方はそうしたこともご承知の上で問題提起をされているだと思いますが、こういうことを言うのも、実際に小中規模店に試験的に商品を投入してみたことがあるからなのです。実は私もそういうふうに思っていたので、配本を一度増やしてもらったのでした。しかし半年ぐらい続けたのですが結果は返品が大量に発生するだけ、という惨憺たる有様でした。配本が増えれば売上があがる、というこのロジックが通用するのは、実はほんのごく一部の商品タイトルだけの話なんですね。そう。売上が悪いことを配本だとか、競合店だとか、景気だとか、そういうののせいにしてはいけません。それはわかってます。
ただ、一般客として、「新刊コーナー」のところに新しい本が1冊もなく、ダヴィンチコードもない、キッパリもない、ドラクエ攻略本もない、たまごっちの攻略本もない、セカチューもいま会いにも子どもが育つも頭がいい人も、、、テレビや新聞で話題になってる本がまったくない本屋さん。そんな本屋に行きます?
しかし、そのような入荷の難しいベストセラー系の新刊の店舗の売上に占めるシェアを計算してみると、実は3%未満にしかならないことに気づくはずです。へたしたら2%も無いかもしれません。え!?たった2%?そうなんです、入手しづらいベストセラーの確保に一生懸命になったところで、所詮売上は2〜3%程度しか変わりません。そんな小さな数字に異常にこだわるより、残りの98%に力を注ぐべきだったのです。98%に力を注いだ書店は、売上のボトムアップがはかられ、勝手に今まで入荷しづらかった新刊ベストセラー系まで入手しやすくなってしまいます。こだわったって仕方がない業界なので、もくもくと棚をいじくっております。とりあえず昨年並みか昨年よりもちょっと上回る程度の売上はありますんで、残りの98%はそこそこ大丈夫だと思いますが、やっぱりたとえ2%でも、「あそこに行けば何でもある」と言われたいですからね。
あちこちで私が甘ちゃんだみたいなコメントがあったりしますけど、個々の仕事じゃなくて、業界のシステム的な話をしたかったんですよね。
業界が変わらないので、一般の方に書店業界を知ってもらう方が早いのかな。
「お客さま、予約しても発売日に入荷しません」ヒロシのネタみたいだな。
posted by 150turbo | 2005年03月07日 17時53分
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日記
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